知の快楽 哲学の森に遊ぶ
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財政健全化と経済成長の両立を:G8共同声明


アメリカのキャンプ・デーヴィッドで行われた今年のG8は、ユーロ危機と世界的な経済不況が最大の問題となった。共同声明では、財政健全化と並んで経済成長の重要性が謳われ、また、ギリシャがEUから離脱しないように呼びかけるなど、異例のメッセージも目立った。

これは、フランスにおけるオランドの登場、ギリシャにおける緊縮財政反対の動きを踏まえ、これまでのような、財政健全化一本やりでは活路が開けないと懸念する動きが強まっていることを表していると言える。

外野席から見ていても、オバマ大統領が、フランスのオランド、イタリアのモンティとスクラムを組んで、ドイツのメルケルを説得する様子が伝わってきた。

いまのままでは、ギリシャのEU離脱は現実のものとなり、そうなれば、銀行取付け騒ぎはスペインやイタリアにも波及する恐れが強くなる。それ以上に、財政健全化のために、雇用や生活を脅かされた民衆の怒りが爆発して、経済危機どころか、深刻な政治危機に発展しかねない勢いだ。ここは、ドイツやアメリカを含めて、皆が痛みを分かち合いながら経済の立て直しに協力し合おうではないか、そんなメッセージが伝わってくるのだが、果してそう簡単にいくか。

というのも、財政健全化と経済成長とは、まったく反対の政策軸からなっているからだ。その相反した政策軸を二本均等に並べたところで、なにか妙案がでてくるという筋合いのものでもない。

どちらを優先させ、どんな事態の実現をめざすのか、そこをきちんと押さえたうえで、具体的な政策を打ち出す、そういうことをしていかない限り、問題は一向に解決には向かわないだろう。




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